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​ 飛び抜けてピアノの才能があると思われる子供には、ピアノの先生の指導方法も違うのでしょうか?

Answer

 

 私の限られた経験からの回答であり、加えて若干脱線気味な答えとなり恐縮ですが…

 

 この場合、「飛びぬけて」の程度が分かりかねますので何とも言えないのですが、親御さんを始めとして周りが腰を抜かすほどの才能を持っているお子さんであれば、現在師事されているピアノの先生が先ず周りに先駆けてその才能を見出すことと思います。

 

 ここからがちょっと難しい部分になるかと思うのですが、​先生には大きく分けて以下の3タイプがあると思われます。

 

  1.非常に才能に恵まれた子供を教えた経験がある。若しくは自分がそうだったので、問題なく教えることが出来る

  2.自分には生徒の才能を伸ばしていける自信がないので他の先生(専門家)を紹介する。若しくは専門家を探すことを提案する。

  3.自分には才能が伸ばせるかどうかわからないが、生徒と良い関係が築けているので、取り敢えずこのままレッスンを続ける。

 上記の1と2のケースは全く問題はありませんが、3の場合は家族会議を開いて、お子さんの意見も聞きながら先生を代わることも念頭に入れて慎重に考えていく必要があると思います。というのも、才能を開花させる指導法は通常のレッスンとは全く異なるからです。

 

 以前に読んだ本の話なのですが(内容が若干うろ覚えで恐縮ですが)、分野に関わらず、才能がある子供は通常であれば1段目から上る「スキルアップの為の階段」があるとすれば、1段から4段を飛ばして5段目から上り始めるのだとか。つまり、1段目が済んだら2段目…と階段を着実に上がるレッスンをしてもある意味「無意味」であり、それよりも落っこちないようであればそれこそ7段、8段…と、上から引っ張り上げたり下から支えたりしながら、早い段階からドンドン高みを目指して上らせる訓練をすることが必要とのことでした。そして、その様にして才能を伸ばしていった子供は、例えば、一般人にとっては全部で20段しかない階段であったとしても、現実には存在しない筈の21段目以降をさらに延々と上り続けることが出来るそうなのです。その存在しない筈の21段目以降の階段を作り上げることが出来る先生というのはごく限られた人達であり、そういう専門家に子供を託すことが出来なければ才能の開花は望むべくもないとのことでした。

 大変残念なことですが、一般的なピアノの先生が教えてくださるメソッドではこの様な非凡な才能を潰してしまいかねません。実際そのレベルの子供達は、普通であれば大人でも大変難しい「ピアノを謳わせる」ことなど苦もなく出来、複雑なパッセージであっても美しいメロディーを紡ぐことができます。退屈な練習曲の反復練習などに重点を置かずとも高度な曲を弾きこなすことが出来ます。

 

 そんな才能に溢れる子供達には、その才能を惜しみなく発揮できるような演奏機会がたっぷりと与えられ、コンサートなどで音楽を通じて聴衆と一緒に感動を生み出す方法を幼い頃から学び、更に才能を伸ばすことが出来る…そんな教育方法がとられることでしょう。喩え素晴らしいキャリアを持っていらっしゃるピアノの先生と言えど、そういう才能溢れる子供達を教えた経験がないのであれば、才子達の貴重な時間を無駄にするだけでなく、才能の芽を摘んでしまいかねないと思うのです。

 もしお子様に素晴らしい才能があると感じておられるにも拘らず、ピアノの先生から何も今後のことに関してのお話がないようであれば、早めに一度じっくりとお話されることをお勧め致します。私が知っているだけでも、周りが認める秀でた才能があるお子さんだったにも拘らず、先生がその才能を他の専門家に渡すのを惜しんでご自分で育てると主張され、親御様とかなり揉めたケースも何度か聞いたことがあります。

​ ご参考になれば幸いです。

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 ご回答有難うございます! 腰を抜かすほどの才能がある子ではピアノの先生と専門家では何から何まで違うものなのでしょうか。

 Answer

 ご返信有難うございます。専門家と申しましたのは、基本的には「ピアノの先生はピアニストを育てる」のに対し、「専門家はピアニストを育てるのではなく、音楽家を育てる為に教育をする」点が違う為、敢えて「専門家」と呼ばせていただきました。専門家(若しくは専門家集団)の中に入りますと、お子さんのピアノのテクニックを磨くことは勿論の事、本来であれば音高、音大を目指す為に学ぶような楽典、聴音、作曲、伴奏、室内楽等々を小学校低学年から徹底的に教育されます。音楽を学ぶには最高の環境だと思いますが、プロのコンサートピアニスト… 言わばプロの音楽家を育てる為の教育なので、「趣味でピアノを習いたい」と思っていたお子さんは勿論の事、そのご家族の生活までもが劇的に変わってしまい、家族全員がピアノを中心とした生活をすることを強いられるケースもあるでしょう。かなりの覚悟を決めて飛び込まないと大変なことになることもあります。

 

 勿論、全てを犠牲にして身を粉にして精進したとしても、その中でコンサートピアニストとしてステージに立てるのはほんの僅か。殆どは専門家として音楽院等の教育者となってしまうのですが… 

 出来ることなら立ち入らない方がいい

 

そんな世界だと思っています。​心からプロになることを目指さないのでなければ、趣味でピアノを楽しんでいるのが一番なのではないかと感じます。

 

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