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ピアノコンクールで入賞する方法:➂ピアノの先生

コンクール入賞をする為には、ピアノの先生の音楽教育者としての技能が結果を左右する大きな要因の一つとなります。今回はピアノの先生のお話です。


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 巷ではピアノの先生から「そろそろコンクールに出てみない?」とお声がかかるまで基本的にはコンクール出場は待つ…という不文律のような物があるようです。それ以前に出場しても良いのでしょうが、やはりコンクール事情をよく理解していらっしゃる先生からお声がかかったということは「入賞する可能性が高くなったから腕試しに出てみたら?」という意味だと通常考えますので、それ以前に無理をして出場する必要はないと私も思います。…ただこれは『先生がコンクール事情に非常に明るい方である』というのが前提条件となりますが…

 たまに、単なるリップサービスや「xxちゃんは何だか最近練習に身が入っていないみたいだから、ここで目標を作って頑張ってもらおうかな?」という時に「出てみない?」というのもあるらしいです。コンクールの話が出たからと言って素直に喜べない場合もあるのですね…


 同じお教室の同じくらいの年齢の生徒さん達がコンクールに出ているのに自分の子供にだけ声がかからないと心配になる親御さんもいらっしゃるかもしれません。或いは、子供は「コンクールなんて絶対出たくない!」と言っているにも拘らず、先生から何度も出場を薦められると、悪い気はしないものの「どうしたものか」と、悩んでしまうというお話も耳にします。もっと深刻なケースでは、同じ門下の生徒さん同士が(多分『親御さん同士』という方が正解だと思いますが)『誰が先に先生からコンクールを薦められるかコンクール』という競争になってしまったということもありました。


 コンクールって出場するまでが既に戦いです…💦

 先生がコンクールを生徒さんに薦める理由はいくつかあると思うのですが、多分…

  1. 生徒さんが音大・プロ志望であるのでコンクール入賞歴は必要不可欠

  2. 実力があるからコンクールで入賞できそうだし、入賞経験によって音大を目指すことになるかもしれない

  3. 1回くらいコンクールというものを経験してみるもの良いのでは?

  4. 最近ちょっと停滞気味なので、何か大きな目標を持つのも良いかも

…と、こんな感じなのではと愚考します。


 それでは親の立場で我が子のコンクール参加を真剣に考え始めるとなれば、これは多分1)と2)の場合でしょうか? 初めてのコンクール参加… 分からないことばかりで不安もありますが、素晴らしい才能に恵まれた我が子の晴れ舞台の為に「私が頑張らなければ!(エイエイオー!)」と心が浮き立ちます。何時間も検索エンジンを駆使して調べてみると、思った以上に結構色々なことを決めなくてはならないことが判明します。そこで、先ずは先生にご相談です。


ここでコンサート参加に大切なキーワード『先生との信頼関係』の登場です。

 コンクール参加準備の段階でピアノの先生にアドバイスを求めることは多いことでしょう。コンクール選びに始まり、選曲、練習、曲の仕上げ… そして初めてのコンクール参加であれば、コンクール会場でのこと、服装、泊りがけであればレッスン室の確保などなど… そのコンクール準備段階から始まりコンクールが終わるまでの短くない期間、先生には様々な相談をすることになります。その大切な時期に意見の相違や、こちらの思いが上手く伝わらずお互いにイライラしてしまったりすると、そのギクシャクした雰囲気は子供のパフォーマンスにも影響を及ぼすことに成りかねません。日頃から先生との良好な関係が築かれていなければ既にコンクール参加前に勝負に負けてしまうことになります。


 また、お子様に関しても然りで、コンクール用のレッスンは通常のレッスンに比べて内容がガラッと変わる事もありますので、お子さんがまだ小さい頃からコンクールに出場するとなると、今までと違ったレッスン内容に戸惑ってしまったり、厳しい練習が長い間続けば「もうやめる!」と、今まで大切に培った「生徒―先生」の信頼関係までも失いかねません。ここでも先生との信頼関係がとても重要になります。

  

 現在教えてくださっている先生がコンクールに強い先生であれば最高ですが、そうでない場合やコンクール入賞を視野に入れてピアノを習いたい場合には、やはりコンクールに強い先生の門戸を叩くことが一番の近道だと言えるかもしれません。その先生とは音大の教授である必要も、コンサートピアニストである必要もありません。お子様がまだ小さい時であれば、『ピアノの手ほどきをしてくださる先生=コンクール準備もしてくださる先生』だと思いますので、理想的なピアノの先生とは…


  1. 自身もコンクール入賞、或いは参加経験が豊富である

  2. コンクールやオーディション審査の経験が豊富である

  3. コンクールに門下生を定期的に送り出しており、入賞者もいる

  4. コンクール用のレパートリーばかりに練習時間を割くのではなく、基礎もきちんと叩き込んでくれる

  5. (…そして一番大切なことは)親御さんと子供さんの双方ととても気が合い、コンクールに対しての考え方も同じである


 それでは上記の条件を踏まえ、ピアノの先生に関して我が家が実際に体験したことをご参考までにお話したいと思います。


 我が子「モーたん」の先生は学内外を問わず積極的にコンクールに教え子を送り出すことに定評がある先生で、曰く「将来人前で弾きたいのであれば、絶対に小さな頃からコンクール慣れをしておいた方が良い。将来、発表会やコンサートで弾くことになれば、その日に向けて体調や演奏を整えることが必要となるし、幾ら子供であっても、当日キャンセルすることは周りに迷惑をかけるので絶対にすべきではない。その『ベストなコンディションで本番当日の演奏に全ての責任を持つ練習』にはコンクール参加は将に打って付け。加えて、小さな頃から自分を極度に緊張する環境下に置く練習や、その緊張感を使って実力以上のパフォーマンスを生み出す練習、締め切りに合わせて自分を追い込む練習をすることは、ピアニストにならなくても長い目で見れば大変有意義な経験となる」というのが先生の持論でした。また、先生は審査員の経験が豊富なので『どういった演奏が入賞するか』という「勝つコツ」をよくご存じでした。


  音楽学校に入学してしばらく経った頃、先生・モーたん・親(私)の三者面談の際、モーたん(当時10歳)が今後どの様にレッスンを進めたいかを相談する機会がありました。「人前でピアノが弾きたい!」というモーたん。でも将来なりたい職業の話となると、ピアノとは全く関係のない職業名が並びます(笑)。


 それを聞いていた先生は暫く考えた後、「コンクールで何とか入賞して『ピアノの履歴書』の見栄えを整え、小さなコンサートなどでもいいから人前で演奏できる機会を作っていきましょう!」という話になりました。加えて「普通の大学を受験するのであれば勉強も大切だし、そうなるとピアノの練習時間が潤沢に取れるのは後5年くらい。しかもコンクールに特化したレッスンをするとなると、音大入試やプロになる為に必要な『出来るだけ幅広い時代の曲を数多く練習する』ということが時間的に難しくなる。それでも良いですか?」とのこと。


 それがどういうことなのか、ド素人親子の私達にはその時点ではよく理解できませんでしたが、その時から「音大にいかないでコンサートピアニストになる」というアイディアがモーたんの頭の中に芽生えたのかもしれません。 


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 先生は「門下生の演奏を聞く」ということに非常に熱心で、

「教えっぱなし」は絶対にしない。私が一番興味があるのは、私が教えたことでどれくらい生徒が伸びてくれたかという事

と、こちらの胸が熱くなる先生の思いをいつも口にされていました。例えば、門下生の誰かが学内コンクールに参加した場合は、その生徒さんの演奏時間になると他の生徒さんのレッスン中であっても「これからモーたんの演奏だから行ってくるわね」と言っていなくなってしまいます。勿論、これはモーたんのレッスン中に他のお弟子さんのコンクールがあれば、やはりいなくなってしまうので『お互い様』ということで全く問題になっていませんでしたし、「ちょっと一緒に行きましょう!」と言ってレッスンを中止して一緒にコンクールを聞きに行き、その後「演奏をどう思ったか」「改善点は何だと思うか」等と、モーたんの先輩にあたる「大きいお兄ちゃん・お姉ちゃん」の演奏の批評をさせられ「アワアワ」していました(当時「何を言ったか先輩たちにバレたら酷い目に合うのでは…」と思ったそうです。笑)。自分の演奏後も勿論このような批評はさせられますし、学内コンクールの講評が返ってくると「この講評に対してどう思うか(←審査員にも容赦ない!)」と、意見を述べさせます。

 今思えば、音に対する「耳」を育てるレッスンだったのですね。自分で自分の演奏が正しく評価できるのであれば、コンクールも怖くない訳です。

 コンクールで弾く曲も、モーたんの様に自分で勝手に選んで持ってくる生徒には好きさせていました。実は音楽学校では『バロック・古典・ロマン・近代・現代をバランスよく学ばせる』というガイドラインがあったのですが、先生の門下ではこの規則はあって無いような物だったと思います。この方法は賛否両論があると思いますが、『コンクールの選曲は生徒自身が行いその責任は全て生徒が持つ』ということであったようです。実際、コンクールで入賞するか否かの原因の多くは『選曲』であると言われています。ですので、先生から与えられた曲で入賞できなければ、「何故この曲を弾いてしまったのか…」と後悔することなったりします。反対に、生徒さんが選曲に責任を持ちたくない場合は、先生が選んでおられました。それぞれの生徒さんの性格や好みを考えながら臨機応変に対応されている先生は生徒から絶大なる信頼を寄せられていました。


 …と、以上の様に、我が家では「素晴らしい先生に出会うことが出来た!」…と、その幸運を喜びこそすれ問題など何もなかったのですが、門下生の何人かが不満を持ち、音楽学校に掛け合い別の先生のクラスに編入したことが何度もありました。その親御さん達と話したところ…

  • 話しばかりしてレッスンをしてくれない

  • レッスン量が足りないと言ってスカイプでのオンラインレッスンを強要する(先生の御厚意で無料)

  • 実際にピアノを弾いて教えてくれない

  • 指番号が付いている楽譜を使用させてくれない(原典版の使用を強要)

  • 脱力のトレーニングばかりで鍵盤を触らせてもくれない(最初の数か月は全員このトレーニングからスタート)

  • レッスン中に突然いなくなる(多分学内コンクール訪問)。授業料を返金して欲しい。

  • 家での練習中は、親も一緒に座ってサポートすることを要求する

  • 可愛がっている弟子ばかりコンクールで入賞する(「裏で手を廻しているらしいよ」とはその親御さんの弁)

  • 習っている全ての曲を暗譜で弾くことを強要する

  • あるコンクールに「出たい」といったのに「無理だ」と言われた。無礼である。

…ということを仰っていてビックリ!私達にとって名教師でも、他の方にとっては『駄目教師』の場合もあるんですね。


  こういうこともあるので、やはり他の方の評判で先生を決めるのではなく、ことコンクール入賞という目標があるのであれば、親子でしっかりと先生との相性を見極めることが大切だと思います。

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