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ピアノコンクールで上位入賞する方法:④選曲 【その1】

絶対に選んではいけない曲、『勝ち』に行く曲… 選曲が結果を大きく変えます!


 我が子「モーたん」が最初にコンクール参加したのは11歳の時でした。「演奏時間10分以内」という規定だったので、その時に練習をしていた曲や、つい最近まで練習をしていた中から本人が好きな曲を3曲選び参加。本番もかなり上手く演奏できたと本人もコンクール会場に駆けつけて下さった先生も思っていたのですが、『入賞は楽勝!』と言われていたコンクールであったにも関わらず残念な結果となってしまいました。(参考:「ピアノコンクールで入賞する方法①」)


 その後、色々コンクールについて調べたり、様々なコンクールに聴衆として紛れ込み(潜入調査?)、上位入賞常連のお子さん達の演奏を含めた数多くの演奏を聴きに行ったりする中で、入賞するお子さん達が演奏する曲に『ある一定の法則』のようなものが存在するように感じました。勿論、入賞する為には選曲だけではなく、他にもとても重要なポイントはあるのですが、モーたんはこの『ある一定の法則』から可能な限り沿った曲選びをすることで、以後、着実に入賞率を上げることが出来たと感じています。

 

 それでは、以下に入賞する為に大切だと思われるポイントを述べていきたいと思います。 


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 コンクール審査の経験豊富な多くの審査員の方がいつも口にされることですが、「選曲は最重要事項。演奏曲目が異なればコンクールの結果が全く変わることも多い」ということ。コンクールに参加すればするほどこれは本当に真実だと痛感します。これを(私見で大変申し訳ないのですが)具体的に言ってしまうと、

今弾ける曲ではなく『勝つ曲』を準備する

ということです。 

 


1.子供さんがまだ小さな時(中学入学前)


  • コンクールの演奏曲目の難易度はどれくらい設定するべき?

 お子さんがまだ小さな時は毎日の様に驚くほど上手になっていきますので『直近、もしくは現段階で弾いている曲が一番難しい曲(或いは「上手に弾ける曲」)である』場合が多いと思います。ということで、これまで結構たくさんの曲を練習してきているにも拘らず、実際にコンクール参加を考え始めた際に、「あれ?コンクールで演奏しても大丈夫そうな曲余り無いな…」ということもあったりします。ほんの半年前に他のコンクールで鮮やかに弾いた曲でさえ、現時点で考えると「こんな簡単な曲でコンクールに出るのは無理…」と感じてしまうこともあるのではないでしょうか。コンクールに難易度が高い曲を出してくることは基本戦略の一つとだと思いますので、これが全く問題だとは思わないのですが、問題はこの『難易度が高い』という部分です。


お子さんはその難易度の高い曲を完璧に弾きこなしていらっしゃいますか? 

 

 モーたんのコンクール参加時の問題は、この『難易度の高い曲を完全には弾きこなしていなかった』点だと思います。演奏した曲はショパンのワルツで、その時のモーたんのレベルからするとちょっと背伸びをした曲。速いパッセージが多い曲でしたが、「11歳でこれだけ弾けたら格好良いね」と、先生や周りにもお世辞でも褒めていただいた曲で、私も練習を耳にして「ああ…上達したなぁ~」と親バカ全開の自慢の一曲でした。翻って考えると赤面ものですが、ピアノを上手に弾かれるお子さんをお持ちの親御さんでしたら、この気持ちがきっと分かっていただけると思います(笑)。でも、この「11歳でこれだけ弾けたら…」という時点でそもそもアウト。残酷なようですが、その程度にしか弾けないのであれば、入賞を狙っていたコンクールにその曲を出してくるべきではなかったのです。実際、その時の講評に書かれていたことは…


大変良く弾けています。貴方がこの曲がとても好きであることが分かります。全体的に音が弱いところが気になりました。もっと音に強弱をつけられると良いですね。感情をもっと込めて『ドラマ』を演出することが必要な曲です。頑張ってください

 当時モーたんはまだ身体も手も小さく、オクターブがギリギリ掴める位でした。他のお子さんと比べてもピアノの音が弱いことは、以前から何人かの先生に指摘されていたのですが、モーたんの先生の教育方針は「まだ身体が出来上がっていない時期に肩や腕を大きく動かしたり、体重移動を使って音を無理に増幅させるトレーニングをすれば演奏奏法自体におかしな癖がつくし、それで体に負担がかかり酷い腰痛持ちになってピアニストを辞める人もいるくらい危険です。脱力トレーニングを根気よく続けて身体が大きくなるのを待ちましょう。」ということで、コンクール初挑戦時はピアノから出てくる音はか弱いままでした。やはりコンクールやコンサートという、ある程度の大きさのホールで演奏をする時には大音量が出せるピアニストはそれだけでも大きなアドバンテージがあります。大きな音が出せるということは、ピアニッシシモからフォルティッシッシモまでの強弱の幅が大きい訳で、これが曲に複雑な表情を付けることを可能にします。この点だけ考えても、どんなにモーたんが弾きたかったとしても、この「ドラマ」を演出することが求められる曲を演奏してはいけなかったわけです。


 …ということになると「では、どの程度曲が仕上がっていればコンクールで入賞できるのか?」という疑問が出てきます。様々な経験をしながら最終的に行き着いた答えは「(同じ曲を)コンサートピアニストが演奏しているレベル相当」なのではないかと今では考えています。「コンサートピアニスト」と言うと、人によっては「え?まだ小学生なのにそんなの無理でしょう!?」と思われるかもしれませんが、入賞者の多くはそのレベルまでしっかりと曲を仕上げてきているといつも感じます。つまり…

プロの演奏と比べても遜色ないレベルで弾ける曲をコンクール用に準備する

…これが大切だと思います。


 小学生でリストのラ・カンパネラが弾ければ、どうしてもそういった華やかで誰が聴いても「将来間違いなくピアニスト!」という我が子の才能を証明するような曲を選びたくなってしまうと思います。親御さんの中には超難曲の代名詞であるリストやラフマニノフをコンクールで選曲しているとそれだけでテクニカルポイントがもらえると信じていらっしゃる方もいらっしゃいましたが、残念ながら全くそんなことはありません。特に難易度の高い曲を選びたい場合にはコンサートピアニストの演奏と冷静に比較し、お子さんの演奏がまだプロのレベルに達していないような場合にはその曲を弾くのは後1・2年待つことにして、今の段階で完全に仕上がっている…例えば、「全音ピアノピース:難易度B」くらいの曲を目を見張る様な演奏で弾き、聴衆を魅了するお子さんの方が入賞確率は断然に上がります。


 難易度Bランクの曲は、ややもすると「比較的易しい曲」と解釈されることも有り、そういう曲をコンクールやコンサートで演奏されることに最初のうちは難色を示す親御さんもいらっしゃるかもしれません。かく言う私自身がかなり長い間そう信じ込んでおり、その『私の常識』を打ち破るまでにかなりの時間がかかってしまいました。その『自身の常識を打ち破るまでの期間』が、モーたんがコンクールに入賞できなかった時期でもあり、その後選曲を『完全に手の内に入っている曲』に変えていくことで結果は段々変わっていきました。因みにモーたんは18歳になって参加したコンクールでもその当時に演奏した「全音ピアノピース:難易度B」の曲を演奏して入賞しています。


 「ピアノの楽曲で簡単な曲というものは存在しない」と、ピアノを極めた皆さんは必ず仰います。例えば「猫ふんじゃった」をプロと子供が弾いてどれくらい差が出るか… その差は多分ショパンのポロネーズを弾いた時の差と比べたとしたら、取り敢えず『小さな子供でも弾ける』ので、そういった意味ではごく僅かな物かもしれません。ただ、音色、強弱、間合い、音のニュアンス…など、「やはりプロは違うね!」という差は必ず出るものです。曲の難易度に余りとらわれず、お子さんの実力を最大限発揮できる曲でコンクールに参加することが大切だと思います。


 




 


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