top of page

【世界トップの音大】オーディション合格必勝法1


 世界トップにランキングされているイギリスの音楽大学、英国王立音楽大学(RoyaRCM: College of Music)。この大学の付属音楽学校(RCMJD: Royal College of Music Junior Department)では、音大教授らの指導の元、8歳から18歳までのリトルピアニストさんが、ピアノ、並びに専門的な音楽教育を学ぶため日夜精進されています。(詳細は過去ブログの【世界トップの音大】8歳からピアノを英国王立音楽大学付属音楽学校で習ったら…】をご覧下さい) 

 

 入学はオーディションでの選抜となるため、「是非この音楽学校で我が子を学ばせたい!」と願う親にとっては、「どのレベルであれば合格できるのか?」というのは、出来れば事前に知りたい情報だと思います。


 今回は私見ではありますが、我が子「モーたん」の受験経験と、その後9年間のRCMライフで耳にした内部情報(笑)を基に、この「合格ライン」についてお話します。他の音楽学校オーディションでも使えるヒントもあるかもしれませんので、宜しければ是非ご一読ください!




インスタ始めました!こちらの方が更新が早いと思いますので、宜しければ上記の【インスタ始めました!】ボタンからフォローお願いします。

インスタのDMメッセージからご質問も受け付けております!


モーたんが実際にRCMのオーディションで弾いた当時の演奏(ベートーヴェンのソナタ「悲愴」3楽章)を配布しています。上記の赤いボタンからインスタをフォローして戴き、インスタ内から「RCMオーディションの音源希望」とメッセージを頂けましたらリンクをお送り致します。ご興味があればどうぞ!

 

 

 我が子「モーたん」が習っていたピアノの先生からある日「イギリスには土曜日だけの音楽学校があり、そこは8歳くらいから入学できるからオーディションを受けてみたら?」と、お話がありました。習い始めてからまだ1年くらいしか経っていなかったのでとても驚きましたが、「私はオルガンが専門。今後はピアノの先生に習った方がいい」とのこと。


 同時に先生から「そういった土曜日学校はいくつもあるから、家から一番近い学校を選べばいい」とアドバイス。先生は私達の家から比較的近い、「B音楽学校」のことを念頭にそう仰ったようですが、私は勝手に「家から近い ⇒ ロンドン」のことだと解釈(実は我が家は田舎にあるので、どの都市も同じくらいに遠いのです💦)。


 「音楽学校のオーディションって… 合格するのは至難の業では?」と、恐る恐る聞いてみると、

 「いやぁ~大丈夫!」と言って、わっはっは…と高らかに大笑い。でも、


 全然、大丈夫なんかじゃなかったんですよ・・・

 後に、私達が願書を提出したのが英国王立音楽大学付属音楽学校(RCMJD)だと知って、先生はかなり慌てていらっしゃいました。ま、その時は「時すでに遅く」オーディションの直前だったので、「大丈夫!(多分…)💦」と、私達と目をあわせないようにして仰られました。


 ま、実際、そんなにギリギリでは、何とかしてあげたくても手の施しようがなかったと思います。


 

 それまでコンクール経験が全くなかったモーたん。人前で弾いたのは小学校の「学習発表会」のみ。それでも、英国王立音楽検定は何度か受験していたので「検定試験もオーディションも同じでしょ?」と、高をくくり「完全に現実逃避」。小学校の音楽の先生から「RCMを受験するって…大丈夫?(そりゃ、そんなに「おめでたい」学校の受験ともなれば普通は心配ですよね)」と言われても、


大丈夫です!ピアノの先生が「大丈夫!」って太鼓判押してくれました!

と、まさかの【勝利宣言】! 知らないということは「げに恐ろしきかな」…ですね(笑)!



さて、願書提出の際に応募要項をチョロチョロ見ていると


フレンドリーなオーディションです❤ ←全員合格すると思っていた
英国王立音楽検定は受験していなくても大丈夫! ←ピアノが弾ければ誰でも受験OK!  ※イギリスでは奨学金やコンクールに応募する際、書類審査の意味もあり、受験者がその時点で取得している検定グレードを記入する場合が多いです。
自分の好きな「コントラスト」のある2曲を弾いて下さい

 因みに、ピアノ科合格ラインの目安は「11歳で英国王立音楽検定 グレード5以上(「グレード1」からスタートで、「グレード8」が取り敢えずこのカテゴリーでは最高グレード)」と、何とな~くぼやかした感じで記載されておりました。モーたんは当時7歳。既にグレード5に合格していたので、「あ、じゃ、全然OKじゃない?」と更に自信を深めます。


 ここで、恐ろしい事実誤認(ちゃんと「応募の手引き」を読んでいなかった!)があったのですが、これからオーディションを受ける方がいらっしゃれば絶対に知っておいた方が良いことなので、以下にその完全に読み落としていた、或いは「行間に隠されていた」重要ポイントを書き留めたいと思います(多分私以外の方は既にご存じだと思いますが、念の為…)


  • オーディション前に「Open Day」というものがある

  • ピアノのオーディションは「1次」「2次」と2回ある

  • ピアノ科は大変人気があり、オーディション合格はかなり狭き門

  • 実は「11歳で英国王立音楽検定グレード5以上」というガイドラインは、少なくともピアノ科に関しては全然参考にならない


 それでは、上記に挙げた「重要ポイント」も含めて「合格する為のコツ」を書き綴って参りたいと思います。勿論、これらを実践すれば「絶対合格する!」というものではございません。あくまでも「個人の見解」ということをご納得いただきました上で読み進めて下さいませ。


 

1.受験年齢

 これは、何と言っても若いほど有利! 字面(じづら)を見ると「結婚斡旋業者」みたいで恐ろしいですね…💦 8歳から入学できるので、7~8歳で受験されるのがベストだと思います。


 そのくらいの年齢カテゴリーですと、「演奏技術が(その年齢にしては)高い」ということは、ある程度(絶対条件ではない)は必要ですが、合格基準は基本的に「将来性」と「本人のやる気」。加えてまだ小学生であれば「今年ダメでも来年頑張る!」ということも可能です。


 実際、「どうしてもRCMに行きたい!」と、ご本人が切に希望し、その年は取り敢えず合格した他の音楽学校で【仮面浪人(こんな場合でも使う言葉なんでしょうか…)】をして、翌年、更に演奏技術を磨いて再度RCMを受験し晴れて生徒になった…そんな生徒さんも何人かいらっしゃいました。再受験組は決して不利ではありませんし、逆にその「RCMに対する情熱」はシッカリ審査員の先生方に伝わる筈ですので「好印象」であると思います。


 そしてここが重要な点なのですが、合格枠は「10歳以下からから2人、11歳以上から3人」などと年齢別になっているわけではありません。コンクールとは全く違い、年齢制限ギリギリ(15歳以上)の方が有利とは限らないのです。


 例えばオーディションでの得点が拮抗しており、審査員が8歳と14歳のどちらを選ぶか迷った場合


「この子は既に14歳だし、今年が最後のチャンスかもしれないから、こっちにチャンスをあげよう」

…と思って欲しいですよね? でもそれは絶対に(もう一度念の為に)絶対にありません


というのも、


将来有望な生徒を不合格にすれば、その生徒は間違いなくライバル校に行ってしまうから

 ピアノ科はただでさえ合格人数が少ないのです。そんな同情や年齢に関する忖度は全くありません!

ましてや一時的な感情に突き動かされて「忖度」した結果不合格にした受験生が…


 その後、見事ライバル校に合格し、そこで「覚醒」して周囲も驚く超~大躍進!賞レースに出まくってトロフィーを根こそぎ「略奪(RCM視点)」し、最終的には世界中から愛される大ピアニストになりました(めでたしめでたし)

 なんてことになれば、来年からはその「天才ピアニスト」が在学する学校に優秀な生徒が殺到してしまい、勢力分布図が書き換えられることになります。


 加えて… そんな金のたまごをオーディションで「獲得しそこなった」審査員は、周囲から「全く審美眼がない」と判断されてしまいかねない訳です。



 …脱線したので元のお話に戻りますと…


 …ということで、オーディションは通常のコンクールと比べた場合、より「これからの伸び代 = 将来性」を評価するものとなります。元審査員を長年務めていらっしゃった先生にお伺いしたところ、審査基準は大まかに言って


  • 演奏

  • 魅力的な点があるか

  • ポテンシャルがあるか

  • 本人はピアノが大好きか(←親や先生に無理やり練習させられていないか)

  • どれくらいの期間で現段階まで上達したのか(←結構重要)

  • 明るい性格で教師の教えにも素直についてきそうか


だそうです。コンクールでは絶対に落とされる演奏であったり、粗削りでミスタッチが多く、演奏法に欠点がいっぱいあっても「これは?」と、何か思うところがあれば合格させるとのこと。


以上の点を踏まえてオーディションに臨んだ場合、小学校低学年のピアニストさんの方がどうしても…


  • まだ身体が成長途中であり、筋肉や指などを「ピアノ演奏向き」に鍛え上げていくことが出来る

  • 考え方にも柔軟性がある為、新しい先生のやり方にも順応しやすいと思われる

  • 人前で演奏することに「恐怖心がない/少ない」ことが多い

  • 学校での勉強が中高生に比べて「楽」と思われるので、練習時間が確保しやすいと思われる

  • ピアノを始めてからまだ数年。その期間にここまで伸びたのであれば、鍛えれば更に成長すると思われる

  • 出来れば少しでも長くRCMに在学し、あちこちで活躍して欲しい


という、「審査員が考えるRCMに適した人材」という基準に当てはまっている場合が多いということで、選ばれやすいということだそうです。


今まで何人か14歳以上で入学された方を見てきましたが、その方々は

  1. 他の音楽学校から転校してきた

  2. その年のオーディションには小学生グループによい受験生がいなかった

  3. 過去にRCMを受験しており、面接でそのRCMに対する熱い思いを感じ、担当審査員が入学させてあげたかった

  4. これまで音楽環境に全く恵まれておらず、それでも合格ラインまで自力で上達したことを評価した

…のいずれかの理由に当てはまっていたように思います。


 因みに「モーたんは何故合格したのか」を、審査員の先生に伺ったことがあります。先生曰く


(多分)無理矢理…(多分…親から←「えっ?💦」)難易度の高い曲ばかり小さな頃から弾かされてきたせいで、身体は固くて棒のようで、肩や腕に力が入ってガチガチ。加えて両手が「マムシ指」で力が全然鍵盤に伝わっていない。あんな弾き方でよく…メチャクチャだしミスだらけだけど…あれだけ速く曲を弾けるもんだと感心した(←イギリス人特有の皮肉。笑)。このままにしておいたら、きっとあと数年でダメになると思った。「助けてあげなくては!」と思った。

 いやぁ~8歳で受験して良かった!こんな理由でも合格できるんですね!はっはっは…💦


 ご家庭の事情も色々あるとは思いますが、出来れば7・8歳の段階で受験できるように準備されると合格しやすいかもしれません。




2.受験倍率


 この数字はモーたんがまだ通っていた頃のデータですので現在は分かりません。その当時もはっきり「倍率」というものは発表されていませんでしたので、これは「内々で話されていた話」ということになります。


 ピアノ科で言えば、


約10倍

 年によって若干の違いはあるそうですが、毎年大体こんな感じだったようです。受験者が約50人で、合格は4~6名。受験生50名は少なく感じますが、実際はRCMを受験しようという段階で通常は(モーたんはしませんでしたが)、師匠であるピアノの先生に「XX音楽学校を受けようと思うのですが…」とお伺いをし、その時点でお墨付きを頂いて受験するので、受験者は「どの生徒さんが選ばれてもおかしくない」レベルなのではと思います。


この「10倍」という数字をどう見るかですが


「10人に1人受かる」のではなく、「上位4名に入らなければ落ちる」

と、表現した方が感覚的には正確かと思います。(ま、それが「倍率」ですよね。何を今更説明しているんだか…💦)ただ、その「上位4名」というのは「演奏がメチャメチャ上手い4名」ということではありません。そうであれば7・8歳の受験者はほぼ全員不合格になってしまいます。


 ここでは「将来性がある上位4名」ということですので、やはりここでも「若いうちに受験する」というのは大切だと思います。


 


3.演奏曲目


 それでは「どんな選曲をするのが良いか?」…というのは大変気になる点だと思います。


 モーたんはベートーヴェンの悲愴ソナタの3楽章とショパンのヘ短調のエチュードを弾きました。

悲愴ソナタは、前述の英国王立音楽検定の「グレード8」の当時の課題曲で、ショパンのエチュードの方は「7歳でショパンのエチュードなんか弾けたら合格するんじゃない?(ワクワク)」という、「何の根拠もない溢れんばかりの自信」故に選ばれました。


ショパンのエチュードとベートーヴェンのソナタは音大受験のテッパン曲でしょ!

 ‥‥それはそうでしょうが、そんな大それた「ブツ」を大切なオーディションに持っていったとは…。実は、当時のモーたんの演奏が残っておりまして、このブログを書くにあたって十数年ぶりくらいに聞いてみると…


 …驚きのあまり声が出ませんでした(←「生まれて初めて」位にビックリ!)。モーたんの演奏がこれほど酷かったとは…


いや、それよりも、よくこんな曲、7歳の子に選んだな(自己嫌悪満ち満ち中…)

 あの頃は、「結構イケてる!」と信じていたのですから、「親バカ」では言い逃れが出来ない「愚かレベル」。しかも、モーたんが小さい手で無理やりオクターブやクレッシェンドを弾いているのを見ていると、今更ですが本当にモーたんに申し訳ない気持ちになりました(号泣)。


 さて、モーたんの例では全く参考になりませんので、他の合格した方が演奏された曲をいくつかご紹介します。モーたんと同じ年に受験した生徒さんではない方も含まれます。


合格した生徒さん

  • Aさん(受験時8歳 女の子):バッハのインベンション/モーツァルトのソナチネ(スケールというものを今まで練習したことが無く、スケールのテストと初見演奏では惨敗。音の美しさで合格)


  • B君(受験時6歳 男の子):ハイドンのソナタ/中国の現代曲(この生徒さんは余りにも才能に溢れていたので、7歳から特別に入学を許可されました)


  • C君(受験時8歳 男の子):シューマン:子供の情景「見知らぬ国」/ショパン:ワルツ(バイオリンもピアノと同じくらい弾けた生徒さん。ピアノを専科として合格。ロシア人の先生についていたので指がとても強かった!)


  • Dさん(受験時15歳 男性):モーツァルト:ソナタ/バッハ:パルティータ(余り音楽環境に恵まれておらず、加えてピアノを始めてから3年くらいの短期間にもかかわらず合格レベルに到達した。音色の美しさと将来性をかわれて合格)


  • Eさん(受験時11歳 女の子):バッハ:平均律/ドビュッシー(ライバル校から編入。その年のトップ入学。入学直後から学内コンクールの上位入賞常連グループへ)


 限られた中での選曲例ですが、合格するのにはそれほど難易度の高い曲を弾く必要が無いということがお分かりいただけるかと思います。コンクール用にしっかり準備が出来ている曲を演奏すれば合格する…という感じでしょうか。(「お前が言うな!」とブーイングの嵐になりそうですが… スイマセン💦)


「何を演奏するかよりも、いかに演奏するか」

と、よく言われますので、モーたんの様に余り力を入れすぎて全く完成していない曲を持っていくよりは、自信のある曲で勝負してみて下さい。



 その2に続く…



 


インスタ始めました!こちらの方が更新が早いと思いますので、宜しければ上記の【インスタ始めました!】ボタンからフォローお願いします。

インスタのDMメッセージからご質問も受け付けております!


モーたんが実際にRCMのオーディションで弾いた当時の演奏(ベートーヴェンのソナタ「悲愴」3楽章)を配布しています。上記の赤いボタンからインスタをフォローして戴き、インスタ内から「RCMオーディションの音源希望」とメッセージを頂けましたらリンクをお送り致します。ご興味があればどうぞ!



0件のコメント

関連記事

すべて表示

子供が「ピアノやめたい」と言った日

「ピアノやめたい」「練習したくない」と、我が子から初めて聞いた日のショックはなかなか忘れられるようなものではありません。「どうして?」「こんなに上手なのに勿体ない!」と、「どうやったらこの【ピアノやめます宣言】を撤回させることが出来るのか?」という事を一日中グルグルと考えていたことを思い出します。 今回はお子さんが「ピアノやめたい」と言った時の対応と対策に加え、「ウチの子、最近ピアノに対するモチベ

bottom of page